山の手入れのなかでも、とくに気を抜けないのが林縁部の伐倒作業。
この日は、つるが絡んだヒノキの伐倒をしていたのですが、作業中に命の危険を感じるヒヤリハットが起こりました。

伐倒木の隣の木が根っこごと引きづり倒された
倒した木が、まさかの方向に…
普段の伐倒と同じように受け口・追い口を入れ、つるが絡んでいることに注意しながら作業していたのですが、
木の上部に絡みついていたつるによって、近くの木を根っこごと巻き込みながら倒れました。
危なかった。。林縁のツルがぐるぐる巻き付いている木を伐ったら、隣の木が根っこごとひっくり返ってきた‥
どうやらツルが巻き付いて引っ張られて一緒に倒れた模様、、
真後ろの木だったら巻き込まれかねないヒアリハットでした。。
ツル絡みの木は本当に何が起こるか分からなくて怖い、、 pic.twitter.com/c2KkE3XTUD
— こばけん| やまもりワクワク団 (@5884kenta) July 15, 2025
斜め前の地面が盛り上がってきて、もしそっちに退避していたら、地面ごと体が持っていかれていたかもしれません…。
非常に危険な状況でした。
幸い、ケガもなく処理を進めることができましたが、作業後もしばらく震えが止まりませんでした。
つる切りをしていない山は、事故のリスクが高い
今回のような事例は、つる切りがされていない山で非常に多く起こります。
特に、林縁部の明るい部分が要注意です。
人工林でも、つる植物(フジ、サルナシ、テイカカズラなど)が木に絡みつき、
上部で木同士がつながってしまっていることがあります。
こうなると、1本の木を倒してもその上部が他の木と繋がっており、
思わぬ方向に引っ張られて倒れる、途中で裂ける、折れる、戻ってくるといった、予測できない挙動を見せることになります。
これが自分のほうに倒れてきたら、命に関わる事故につながりかねません。
「つる切り」こそ、山の安全管理の第一歩
昔の山主さんは、定期的に「つる切り」をして木に絡まないよう手入れしていたと聞きます。
でも、今ではつる切りされている山なんて本当に少ない。ほとんど見かけません。
しかし、質の良い木を育てるためにも、伐倒作業の安全を確保するためにも、「つる切り」は絶対に必要な作業だと、今回改めて感じました。
それと同時に、つるが絡んでいる木は切らないこと。
安全第一で、状況を把握して無理をしないことも林業作業員として重要なことだと思います。
命を守るために、ヒヤリハットから学ぶ
今回は大事には至りませんでしたが、「あの時、少しでも判断が遅れていたら…」と何度も考えました。
林業は本当に一歩間違えば命に関わる仕事です。
だからこそ、「危ない!」と思ったその感覚を大切に、今後も安全に作業をしていきたいと思います。
これを読んでくださっている山主さんや、林業に関心のある方も、
ぜひつる切りという管理作業の重要性を知っていただけたら嬉しいです。