森林の発達段階は一般的に4つのステージに分類されます。
この森は◯◯段階だな〜と思いながら森を見ると、更に面白くなります!
今回は、人口林の発達段階についてご紹介します。
どうも、こばけん(@5884kenta)です。
人口林は、一般的に皆伐した山に針葉樹の苗を植えて、保育しながら育て、最終的に木材として利用して、また植えるというサイクルを繰り返します。
つまり、「→植える→育てる→使う→植える→」というサイクルで森林資源を循環利用することで、適切な森林整備が確保されるとともに、木材を将来にわたって持続的に利用することが可能になります。
国土の3分の2が森林である森林大国日本の森の4割はこういった人口林です。
森に生える木々が成長するにつれて、発達段階が4つに区分されます。
まず最初は、地拵えしてから苗を植林するところからスタートです!
林分初期段階
林分初期段階では、草木類や幼樹などが多く、陽性の樹種で覆われます。
これらを好む昆虫類や小動物もある程度集まります。
ひのきや杉を植栽する人口林では、ひのきや杉が他の樹種との競争に負けないように下草刈りをします。
この下草刈りをしないと、木材利用する樹木が健全に育つことができません。
熾烈な生存競争が繰り広げられます。
人口林では、人間にとって都合が良い(お金になる)木の成長の手助けをし、その他の植物には退場してもらうのが、下草刈りの目的です!
まあ、一年に一回下草刈りをしても、どんどん生えてくるんですけどね😊
上写真は、手前側が下草刈りが完了しており、奥側はまだ完了していない状態です。
林分若齢段階
初期段階の次は、若齢段階になります。
若齢段階では、林冠が閉じて低木層や林床植生は乏しくなり、樹種も少なくその他の生物の多様性も乏しくなります。
写真の森を見てもらうと、林床が真っ暗になって地面の植物も生えていない様子が分かると思います。
林分成熟段階
その後の成熟段階では、樹冠同士の摩擦や衝撃により林冠にすき間ができて、低木層や林床植生も徐々に豊かになり、生物多様性も次第に豊かになっていきます。
人口林では、真っ直ぐ空に向かって木が成長するように密集(※)して植栽されます。
※1.8m間隔で1haあたり3,000本植栽するのが一般的
ですので、人口林を自然にほっておいても写真のような成熟段階の森に育つことはありません。そこで、「間伐」という間引き作業を何回かすることで、健全な成熟段階の森になります。
ちなみに、写真の森は樹齢約60年生で、5年前に間伐を行った森になります。
適度に光が差し込み多様な植物が生えている森は気持ちがいいです♪
林分老齢段階
そして、成熟段階を超えると、老齢段階に突入します。
残念ながら人口林の老齢段階に私は出会ったことがありません。
というか、日本に存在するのでしょうか??
是非コメントで教えていただけたら嬉しいです♪
天然林にはこの老齢段階の森もあります!
老齢段階では、優勢木の中に衰退木、立ち枯れ木、倒木、台風などによる攪乱によりギャップが生じパッチ構造や階層段階が発達するため、植生はもっと多様となります。
この倒木を好む生き物にとって格好の住処となります。
ギャップでは林内に入る日光が増えるため、それまで抑制されてきた陽性樹や植物が成長します。光が林床まで届くことで、下層の植生や新たな植物が成長しやすくなります。
パッチ構造の発達した森林の植生は多様で上下の階層構造も発達します。
また、生物の死骸、多量の落枝・落ち葉とそれの分解者の存在で、土壌構造は成熟し、保水性や透水性も高く、水源涵養の働きも優れる森になります。
昆虫・鳥・哺乳類にとっても、エサが豊富で営巣場所や避難場所も多くなるため多種類の生物が生息し、最も生物多様性に富んだ状態になります。
こういった老齢段階の森を適切に配置して管理することができれば生物多様性にとっても理想的な状態と言われています。
通常の人口林施業では、この老齢段階に突入するまえに伐って新しくリセットするのですが、人口減少して住宅需要もこれまでのように見込めない日本で、全ての人口林をこのサイクルで考えなくても良いのではないか?
山奥や急峻すぎて木材搬出に高いコストがかかる条件不利地はこの老齢段階に進んでもらうというのも一つの考え方であるとも言われています。
森林には多面的な機能が期待されているため、画一的に考えるのではなく、様々な考え方で付き合うのが大切だということを考えさせられます♪