森林文化アカデミー

獣害現場を視察!シカは想像以上に林業の森づくりを阻害していた!

2023年6月21日

森林文化アカデミー学生日誌 vol.7】

 

森林の獣による被害を知っていますか!?

林業への金銭的打撃はかなりひどく、山主さんが森林管理する心を砕くような状況になっています。

 

森林文化アカデミーの講義で、「森林獣害」について学びました。

今回、獣害被害が深刻な現場の視察をしてきました。

想像していた以上に、シカの被害は深刻でした。

現場で見て学んだことを、ブログにまとめました。

どうも、こばけん(@5884kentaです♪

 

森林獣害の状況

森林被害面積

森林被害面積(林野庁HPより引用)

上記グラフは林野庁HPに掲載されているのですが、

獣による森林被害の7割は、シカによる被害です。

 

現在、日本ではシカが増えすぎています。そしてそのシカが樹木の新芽や樹皮を食べる被害が多発し、困っているのです。

 

なぜ、シカがそんなに増えてしまったのでしょうか?

それは、昔はシカを捕食するオオカミが居て、シカの頭数抑制になっていました。

しかし、人間の乱獲によるオオカミの絶滅が一つの大きな要因です。

 

現在の森林では、シカを捕食する動物はほとんど居ません。

森林の生態系ピラミッドの頂点に存在するのはクマやタカです。

 

クマは、ほとんどドングリや木の実などを食べているので、シカを襲うことは少ないようです。

タカは、小動物を捕食しているので、体の大きさ的にシカを捕まえて食べるのは難しいでしょう。

 

頼みの綱は人間の猟師さんですが、猟師の人数も減っていますし、高齢化のため、

捕獲による頭数制限も追いついていない状況です。

 

その他にも、多くの要因が絡み合って、現代の獣害被害は拡大しています。

一例を列挙すると、

ポイント

・造林面積の変化(戦後拡大造林からの、今は部分的な造林をしている状況)

・野良犬の徹底した保護(昔は野良犬が人里に降りてくる獣の番犬になっていた?)

・山村地域の過疎化

・無意識下での餌付け(ピクニックなどの食べこぼしなど)

 

こういった変化から、シカが住みやすい森林になってきているという背景もあります。

獣害被害現場

具体的に、どんな被害が発生しているのでしょうか?

今回の実習では、特に獣害被害が深刻な現場を視察してきましたので、ご紹介します。

 

ちなみに、今回の視察は車で林道を入って行ったのですが、29頭ものシカに出会いました(^◇^;)

 

下層植生の消失

シカが多い森林では、食べれる草は全部食べられてしまいます!

一見、見晴らしが良くて気持ちがいい森林にも見えてしまいますが、

これは水源涵養や土砂流出防止といった観点からも、森林の機能が低下してしまっています。

 

樹皮の皮剥ぎ

シカは、まずは美味しい草の新芽を食べるのですが、

食べ尽くして食べるものが無くなると、樹皮も食べます。

 

せっかく、木材としていい状態まで育ったのに、皮を剥がれると木材の価値が下落してしまいます。

それに、その後の木の成長も悪くなってしまうので、山主さんにとって深刻なダメージです。

 

植栽した苗木を食べられる

こちらの写真の苗木は、10年以上前に植栽したそうです。

しかし、全然森になっていません。本来、10年も経てば、背丈の倍以上の大きさに育っているはずです。

シカに新芽を食べられることによって全然成長しないのです。

それでも木は一生懸命生きようとして、体の至る所から葉っぱを出して、マリモのような形になっていました。

 

ここでは木材生産の林業はできない状況になってしまっています。

 

ディアーライン

こちらも、シカが多い森林のフィールドサインなのですが、

シカの首が届く高さの葉っぱは全部食べられています。

 

シカの除草能力恐るべし。。。

 

以上、森林獣害の被害現場の視察をまとめさせていただきました。

 

シカは、絶対的な悪ではないのですが、頭数が多くなりすぎると、こうやって人間の営みへの被害がでてしまいます。

林業もですが、農業でも被害は深刻です。

 

人と獣がバランス良く暮らせる里山をどうやって維持していくのか?

これからの林業のあり方も含めて色々と気づきがある講義でした。

ありがとうございます。

 

なお、森林獣害をもたらすシカですが、地域によっては「神の使い」として

崇められ、観光名所になっているようです。そちらの様子を下記ブログでもご紹介しております。

よければ読んでみてくださいm(_ _)m

こちらもCHECK

奈良公園のシカ
林業従事者(森林獣害)目線で奈良公園を散策してみたら面白い見方ができた

【森林文化アカデミー学生日誌 vol.10】   森林文化や森林獣害に関連して、シカの生態を学ぶため、 奈良公園のシカの観察をしてきました♪(@森林文化アカデミー)   林業の森林 ...

続きを見る

 

水路掃除は防災_真の百姓の役割

里山暮らし

2026/4/28

お米作りは「土砂災害」から集落を守る仕事!水路掃除で気づいた百姓の真の役割

こんにちは、真庭で「令和の百姓」を目指して奮闘中のこばけんです。 昨日は集落の皆さんと一緒に、田んぼの「水路掃除(泥上げ)」を行いました。 今は全身がバキバキの筋肉痛ですが、この過酷な作業を通じて、稲作の奥にある「真の役割」を肌で感じることになりました。 目次1 山の「天然水」で生きるということ2 美しい田園風景を支える「高齢の現役農家」たち3 お米作りは「集落の安全」に直結している4 山守(やまもり)として、100年先の負担を減らしたい 山の「天然水」で生きるということ 私たちの集落では、ダムから水を取 ...

ReadMore

移住者が始める稲作への第一歩

里山暮らし

2026/4/27

機械はシェア、管理は自分!新参者が田舎のルールを学びながら歩む「現実的な」稲作への第一歩

林業を主軸に、真庭で「令和の百姓」として自給自足的な暮らしを目指している、こばけんです。 移住して古民家を手に入れると、よくあるのが「家と一緒に山・畑・田んぼがついてくる」というパターンです。 私も地元の方の紹介していただいた古民家と一緒に、田んぼを譲り受けることになりました。 しかし、田舎で「自分の米を作る」までには、都会暮らしでは想像もつかなかった高いハードルがいくつも存在していました。   目次1 第1の壁:誰でも「農地」を持てるわけではない2 第2の壁:数百万円!?機械化のコストという現 ...

ReadMore

田舎の挑戦と噂話対処法

里山暮らし

2026/4/23

【田舎暮らしのリアル】なぜ噂話は回るのか?バッターボックスに立つ勇気を守るための処世術

大阪から岡山県真庭市に移住し、林業を軸に農業や観光など、複数のわらじを履く「令和の百姓」を目指して活動しています、こばけんです。 移住して驚いたのは、都会のドライな関係とは正反対の、田舎特有の「ウェットな人間関係」です。 新しい挑戦を始めると、必ずと言っていいほど「噂話」が聞こえてきます。 目次1 なぜ、田舎ではこれほど「噂話」が回るのか?2 バッターボックスに立つ勇気を守る「心の準備」3 噂話を「注目」と「可能性」に変えるマインドセット なぜ、田舎ではこれほど「噂話」が回るのか? 都会でサラリーマンをし ...

ReadMore

山にこもりたくない山守

林業

2026/4/22

「一緒に森作りをしませんか?」山に篭りたくない僕が、SNSやブログで仲間を募りたい本当の理由

こんにちは、真庭市で林業を軸にした「令和の百姓」を目指して活動している、こばけんです。 僕はかつて、大阪の都会でサラリーマンとして暮らしていました。 しかし、当時は自分の手で生きる力がないことや、一生消費者のままであることに強い危機感を抱いていました。 そこから「生産者」になるために移住を決意し、たどり着いた答えが、農業の土台となる水を育み、人々の暮らしの安全を守る「林業」という仕事でした。 目次1 林業(木こり)は「国土を守るヒーロー」である2 なぜ僕は「山に篭りたくない」と言うのか3 100年、200 ...

ReadMore

田舎暮らしで感じる生物多様性

里山暮らし

2026/4/21

カエルの大合唱は贅沢の証?田舎暮らしで五感に染みる「生物多様性」の豊かさ

現在、私は目の前に田畑が広がり、裏手には散歩道、そして歩いて3分もすれば豊かな山に囲まれるという、最高の里山の田園風景の中で暮らしています。 そんな日常の中で、最近特に強く感じているのが「生物多様性」という贅沢です。 目次1 大阪での「消費する生活」から真庭での「生産する暮らし」へ2 季節を告げる「生き物たちのリレー」3 都会の人にこそ味わってほしい「最高の癒やし」 大阪での「消費する生活」から真庭での「生産する暮らし」へ かつて私は、ずっと大阪で都会暮らしをしていました。 しかし、コロナ禍をきっかけに、 ...

ReadMore

 

 

にほんブログ村 環境ブログ 里地里山へ
にほんブログ村 PVアクセスランキング にほんブログ村
  • この記事を書いた人
  • 最新記事

こばけん

32才で大阪のメーカーを退職し、林業の世界に転職。 里山資源を活用した半林半Xな暮らしをするために地方移住。

林業が「自分の力で生きる」うえで最強だと思っている。 里山暮らしや林業の日常を発信しています♪

プロフィールページへ

-森林文化アカデミー